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請求書前払いサービス|請求書を前払いするために必要な情報とは?

信用取引では、サービスを提供してから実際に代金の支払いを受けるまでに約1ヶ月~半年のタイムラグが生じるのが一般的。支払企業にとっては余裕を持った支払いができるというメリットがあります。しかし、納入企業にとっては支払いサイトの長期化により、資金繰りが悪化する可能性もあるでしょう。そんなときには、請求書の前払いを受けられる「請求書前払いサービス(ファクタリング)」は非常に有用です。ファクタリングを利用すれば、支払期日前に売掛金を現金化できます。
ファクタリングで請求書の前払いを受けられるのは確かですが、請求書の内容に不足や不備がある場合、利用できない可能性も否定できません。この記事では、請求書の前払いを受けるために必要となる情報や、請求書に記載すべき内容を解説します。

請求書前払いサービス(ファクタリング)とは

請求書前払いサービスとは、その名の通り「請求書を前払いしてもらえる」サービスです。
信用取引は、請求書を発行してから実際に支払いを受けるまでに、約1ヶ月~半年の時間を要します。つまり、売上があり請求額が確定しても、すぐに現金として回収できるわけではないのです。しかし、支払いを受ける前にも、外注費や固定費の支払いはしなければなりません。十分な資金プールがなければ、資金繰りが逼迫することもあるでしょう。信用取引では、支払いのタイムラグが生じることから、資金繰りに悩む事業主も少なくありません。

そこで、請求書前払いサービスを利用すれば、支払期日を待たずとも請求書の前払いを受けることができます。1ヶ月~半年のタイムラグを解消することができるため、資金繰り改善に役立ちます。

請求書前払いで重要となる6つの情報

請求書前払いサービスは、売掛債権(請求書)をファクタリング会社へ譲渡・売却することで、請求書の現金化・前払いを受けることができます。しかし、すべての請求書を買い取ってもらえるわけではなく、請求書に載っている情報から、買取に応じるかどうかの審査を行わなければなりません。請求書の情報に不備や不足がある場合には、買取を断られたり、他の書類から情報を補填したりする必要があります。ここでは、請求書前払いサービスで重要となる情報を解説します。

請求書前払いサービスで重要となる情報は、以下の6つです。

1. 請求元や請求先の会社の情報
2. 取引日
3. 請求日(振込期限)
4. 請求内容
5. 請求額
6. 振込口座の情報

1.請求元や請求先の会社の情報

請求書前払いサービスでは、請求元(ファクタリングを利用する会社)と請求先(売掛先)の会社情報が重要になります。
と言うのも、利用会社が売掛先に対して、確かに発行した請求書であるのかどうかを確認するため。請求書前払いサービスで買取対象となる「売掛債権」は、実物があるものではないため、請求書から売掛債権の存在を確認しなければなりません。請求元や請求先の情報がしっかりと記載してあれば、売掛債権の存在を証明するのに役立ちます。

また、請求書前払いサービスを利用する際には「売掛先の信用度」が非常に重要になります。売掛金の未回収リスクが高い場合、請求書の前払いは受けられません。売掛先がきちんと売掛金を支払うことができるのか調査するためにも、請求先(売掛先)の情報は重要となるのです。

なお、会社の情報には以下が含まれます。

・会社名
・会社の連絡先(電話番号・FAX番号・メールアドレス等)
・会社の住所

2.取引日

取引日も、請求書前払いサービスでは重要です。
取引日は、取引が実際に行われた事実を証明できるものであり、原則取引先の締日を記載します。請求書の発行日と間違えやすいので、注意しましょう。

3.請求日(振込期日)

請求書前払いサービスでは、請求日(振込期日)は非常に重要です。
請求書前払いサービスは、決済期日よりも前に売掛金を現金化できますが、あくまで売掛金の前払いを受けられるだけです。そのため、実際の決済期日に振り込まれた代金は、そのままファクタリング会社へ返還しなければなりません。振込期日が確定していなければ、いつ売掛金を回収できるのかが分からず、買取に応じることはできません。

また、振込期日が2ヶ月以上先の場合、支払期日を迎える前に売掛先の経営状況が変わったり、倒産したりする可能性も否定できません。そのため、あまりにも振込期日が先すぎる請求書は、買い取らなかったり、買取条件が厳しくなったりする可能性があります。

4.請求内容

請求書前払いサービスでは、請求内容も重要です。
請求書には、なにに対する請求なのかを記載する必要があります。商品を納品した場合は、商品名や個数、単価などの記載をしなければなりません。また、サービスを提供した場合には、サービス名やその内容を記載する必要もあります。ファクタリング会社が、どういった取引で生じた請求書なのかを把握するためにも、請求内容は重要となります。

5.請求額

請求額は、実際に前払いを受ける額に直結するため欠かせません。
請求額に対して、消費税額がいくら含まれているのかも含め記載してある方が望ましいです。実際にいくらが売掛金として入金されるのかを把握することで、請求書を前払いする際の金額を確認できます。

6.振込口座の情報

振込口座の情報は、取引をスムーズに行う際に役立ちます。
買取金額を入金するためにはもちろんのこと、請求先の会社の情報としても重要な情報と言えます。名義人氏名・銀行名・支店名・口座番号だけでなく、支店コードなども記載しておけると良いでしょう。

請求書前払いで必要になる書類

請求書前払いサービスは「請求書」だけでは、利用することはできません。と言うのも、請求書だけでは「売掛金の未回収リスク」を正確に判断できないため。
請求書前払いサービスは、償還請求権のない契約が原則です。前払いした売掛金が、売掛先の経営難や倒産などにより支払われなかった場合でも、ファクタリング会社は利用会社へ弁済を求めることができません。つまり、売掛金が回収できなかった場合、ファクタリング会社は大きな損益を負うことになるのです。そのため、ファクタリング会社は請求書を買い取る前に「売掛金の未回収リスクが高くないか」を判断する必要があります。しかし、請求書だけは十分に判断ができる情報があるとは言えません。そのため、請求書前払いサービスでは請求書以外にも、いくつか提出を求められる書類があります。

必須となる書類

請求書前払いサービスで、必須となる書類は以下の3つです。

・請求書
・取引に使用している通帳のコピー
・身分証明書

取引に使用している通帳は、売掛先との取引歴を確認するために必要不可欠です。どれくらいの期間継続して取引をしているのか、過去に売掛金の未払いや払い遅れがなかったか等を確認できるため、売掛金未回収リスクの判断に役立ちます。

提出を求められる可能性のある書類

請求書前払いサービスを利用する際に必須となる書類は、請求書と身分証明書と通帳のコピーの3点になります。しかし、必ずしもこの3点だけで売掛金の未回収リスクを判断できるとも限りません。その場合は、追加資料として以下に紹介する書類の提出を求められることもあるでしょう。また、ファクタリング会社により審査基準が異なるため、審査の厳しいファクタリング会社では提出を求められる書類も多い傾向にあります。

請求書前払いサービスで提出を求められる可能性がある書類は以下の通りです。

・商業登記簿謄本
・印鑑証明書
・決算書
・売掛先との基本契約書
・エビデンス資料(発注書、納品書、売掛先とのやり取りのメールなど)

請求書間前払いサービスは、売掛先が契約に関与しない「2社間契約」と、売掛先も契約に参加する「3社間契約」の2通りの契約方法があります。2社間契約では、売掛金の返還に請求書前払いサービスを利用する会社が行わなければなりません。売掛金の持ち逃げリスクも否定できないため、利用会社の経営状況も審査に少なからず影響を与えるのです。
そのため、利用会社の会社情報や経営状況を確認するために、商業登記簿謄本や決算書などの提出が必要となることもあります。

また、請求書だけで売掛債権の存在を確認できない場合には、売掛先との基本契約書やエビデンス資料から追加審査を行うこともあります。追加提出を求められた際に迅速に対応できるよう、これらの資料も準備しておけると良いでしょう。

高額前払いを期待できる請求書の条件

請求書前払いサービスを利用する際には、必ず手数料を支払わなければなりません。手数料は、前払いしてもらう請求書の額面に対して1%~30%が相場であり、条件により手数料設定に大きな差が生じます。つまり、前払いで受け取れる金額は、手数料により大きく変動することになるのです。請求書前払いサービスで高額資金調達するためには、手数料を低く抑えることがカギとなるでしょう。

手数料を低く抑え、高額資金調達することに期待できる請求書の条件は以下の通りです。

・売掛先の信用度が高い請求書
・決済日までの残日数が短い請求書
・契約期間が長い売掛先との請求書

売掛先の信用度が高い請求書

請求書前払いサービスの審査は「売掛先の信用度」を重要視します。なぜなら、請求書前払いサービスは、償還請求権のない契約が原則だから。売掛先が売掛金を支払うことができなくなった場合、その被害はファクタリング会社が負わなければなりません。そのため、売掛金をきちんと支払える売掛先なのかどうかは非常に重要となります。

売掛先の信用度が高ければ、売掛金を回収できる可能性も高く、ファクタリング会社は損を負う心配がいりません。信用度が高い売掛先への請求書であれば、手数料を抑え、高額資金調達に期待できるでしょう。

なお、信用度の高い売掛先とは、経営が安定していて売掛金を支払えない可能性が限りなく低い売掛先のことであり、以下が該当します。

・大手企業
・国や地方自治体
・上場企業

決済日までの残日数が短い請求書

決済日までの残日数が短い請求書も、高額資金調達に期待できます。
決済日までの残日数が長い場合、審査時点では問題がなかったとしても、決済日までに経営が傾く可能性も否定できません。反面、決済日までの残日数が短ければ、よほどのことが無い限り、急に経営が傾く心配はありません。審査時点での未回収リスクと、決済日での未回収リスクに乖離が生じない範囲での期間であれば、手数料は高くなりにくいです。

なお、決済日までの残日数が2ヶ月以上のものは手数料が高くなりやすい傾向にあります。
請求書前払いサービスで高額資金調達を希望するなら、決済日までの残日数が2ヶ月以内の請求書を選ぶのが良いでしょう。

契約期間が長い売掛先との請求書

請求書前払いサービスでは、契約期間が長い売掛先との請求書ほど評価が高くなります。
と言うのも、契約期間が長く、その間一度も支払いトラブルがないことが証明できれば、前払いする売掛金も回収できる可能性が高いから。継続的に取引をしていて、なおかつ支払いトラブルがない売掛先がある場合、積極的に請求書前払いサービスを活用しても良いでしょう。

前払い不可な請求書もある

請求書前払いサービスで買取対象となるのは原則「決済期日が確定している請求書」となります。しかし「決済期日が確定している請求書」であれば、必ず前払いを受けられるというわけではありません。

請求書前払いサービスでは、以下の請求書は買取不可になるため、注意しましょう。

・決済期日を過ぎている請求書
・売掛先の信用度が低い請求書

決済期日を過ぎている請求書

請求書前払いサービスでは、決済期日を過ぎている請求書は買取できません。
請求書前払いサービスは、償還請求権のない契約が原則であるため、未回収リスクの高い請求書はまず買い取ってもらえません。決済期日を過ぎている請求書は、そもそも支払いが遅れている請求書ということであり、売掛金を回収できる可能性は非常に低いと判断できます。そもそも請求書の「前払い」サービスなわけですから「決済期日前の請求書」しか買取対象にはなり得ませんので、注意しましょう。

売掛先の信用度が低い請求書

請求書前払いサービスは、償還請求権のない契約が原則です。そのため、売掛金を支払える可能性の低い会社の請求書の買取には応じていません。いくら資金調達したくとも、信用度の低い売掛先の請求書しかない場合は、請求書前払いサービスは利用できない可能性が高いでしょう。

不備のない請求書なら好条件で前払いを受けられます

請求書前払いサービスは、決済期日前の請求書を現金化できるサービスです。売上が発生してから実際に決済日を迎えるまでのタイムラグを解消できるため、事業主の資金繰り改善に役立ちます。しかし、請求書の情報に不備や不足がある場合は、利用できなかったり、買取条件が厳しくなったりすることも珍しくありません。好条件で請求書の前払いを受けるためにも、請求書の内容は正しく不足のないよう作成しましょう。

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