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ファクタリング業界は今後どうなる?ファクタリング業界の現状と今後の動向を解説!

借りない資金調達方法として、近年注目を集めている「ファクタリング」。事業主が保有している売掛債権を、ファクタリング会社へ譲渡・売却することで、売掛金の早期現金化ができます。そんなファクタリングですが、実は日本における歴史はさほど長いものではありません。現状では、知名度が高いとは言えませんが、手形制度の廃止などにより、ファクタリング業界は益々発展していくことが予測されます。この記事では、ファクタリング業界の現状と今後の動向について、詳しく解説していきます。

ファクタリング業界の現状

ファクタリングは、事業主が保有する売掛債権を、ファクタリング会社へ譲渡・売却することで、決済期日前に売掛金の現金化ができます。「売掛金の前払い」を受けられるサービスであり、貸付ではありません。ファクタリングは、負債を抱えない、利用者に赤字決算や税金滞納があっても利用できる、最短即日で資金調達ができる、など貸付では得られないメリットを多く持ちます。
上記のように、既存の資金調達方法とは異なる毛色を持つこともあり、ファクタリング業界は着目されているのです。ここでは、そんなファクタリング業界の現状を解説します。

手形割引の代替手段として拡大

日本では、遡ること江戸時代から「手形」を用いた商取引が行われています。手形による取引では、商品を受け取った企業が「いつまでにいくら払います」という約束が書かれた手形を発行します。そして、手形を受け取った企業は、決済期日に銀行へ取り立てを行い、現金を得るという流れとなります。従来から一般的に用いられてきましたが、手形は用紙を用いるため、紛失するリスクや盗まれるリスク、発行費用がかかるなどの課題がありました。
そこで、手形の課題を解消するべく、手形の代替手段として「売掛債権(売掛金)」を用いた取引が主流になってきています。売掛債権は手形のように実物があるものではないため、存在証明のために請求書や納品書・発注書を発行する必要があります。やや手間かもしれませんが、手形よりも管理コストが圧倒的に低く、発行するための費用もかかりません。そのため、現在では8割を超える企業が売掛債権を用いた取引を導入しています。

売掛債権を用いた取引の拡大に伴い、「ファクタリング」も拡大してきています。と言うのも、手形を決済期日前に現金化できる「手形割引」の対象は、手形でしかないから。必然的に売掛債権は、手形割引の対象にはなりません。売掛債権を早期現金化できるのはファクタリングであるため、売掛債権の拡大に伴いファクタリングも拡大したというわけです。

支払いサイトの長い業界からの利用者が多い

ファクタリングは、支払いサイトの長い業界からの利用者が大半を占めています。
売掛債権を用いた取引では、商品やサービスを提供してから、実際に代金を受け取るまでに1か月~2か月程度の支払いサイトが生じるのが一般的です。しかし、運送業や製造業、建設業などでは、支払いサイトが3か月~4か月になることも珍しくはありません。場合によっては、支払いサイトが半年や1年になることもあるでしょう。
このように支払いサイトが長い場合、資金繰りは非常に難しくなります。と言うのも、売掛金を受け取る前にも、外注費や従業員への給料などの支払いはしなければならないから。売り上げとして代金を得る前に、巨額な資金が必要になるため、十分な資金プールがなければ、資金繰りの逼迫は避けられません。

実際に、ファクタリングの利用率が高い業界として、運送業(19%)、製造業(18%)、卸売業(16%)、建設業(15%)と、支払いサイトの長い業界からの利用が多いのです。近年では、IT業界からの利用も急増傾向にあります。

日本での歴史は浅い

ファクタリングは、16世紀イギリスで発祥した支払い保証の手段であり、ファクタリング自体の歴史は比較的長いです。しかし、海外を中心に発展してきた経緯もあり、日本におけるファクタリングの歴史は長いとは言えません。実際、日本にファクタリングが上陸したのは1970年代であり、日本での歴史は比較的浅いと言わざるを得ません。

認知度は高いとは言えず誤解している人も多い

ファクタリングは、日本における歴史が浅いこともあり、現状では認知度が高いとは言えません。故に、ファクタリングの詳しいサービス内容を知らなかったり、実際に利用したことがなかったりする方が多いのも確かです。
また、銀行融資に断られていても利用できる利用ハードルの低さなどから、「銀行融資を受けられないほど資金繰りが悪化しているのか」など、ネガティブな印象を与えてしまうこともあるかもしれません。さらには、過去にはファクタリングを謳った高金利貸付である「偽装ファクタリング」の逮捕事例もいくつかありました。この影響を受け「ファクタリング」の名だけが、悪い方向へ一人歩きしてしまい、「ファクタリングは怪しいサービス」という誤解を持たれてしまうこともしばしば。ファクタリングを利用したくとも、周囲に悪い印象を与えないか心配等の理由で、利用を踏みとどまってしまう方も少なくはないのです。

法的整備が不十分

現状では、ファクタリングを取り締まる法律は十分とは言えません。
銀行融資などの借入の場合「貸金業法」や「利息制限法」などの法律により、20%を超えるような金利設定は禁止されています。しかし、ファクタリングは貸付ではないため、貸金業法や利息制限法は適用されません。つまり、ファクタリングでは、かなり高い手数料に設定していても、違法にはならないのです。そのため、2社間ファクタリングでも、手数料2%のファクタリング会社もあれば、手数料が30%を超えるようなファクタリング会社も存在します。ファクタリングでは、利用するファクタリング会社の選択が、資金調達の明暗を分けると言っても、過言ではありません。

悪質業者も存在している

ファクタリングは、近年急激に利用者が増えてきている資金調達方法です。ファクタリング需要の増加に伴い、ファクタリング会社も増え続けています。ファクタリングを提供する会社は、銀行や銀行系列会社、大手企業、小規模専門会社などさまざま。
ファクタリングを提供するにあたり、特別な資格は必要ありません。歴史が浅い業界であり、なおかつ法的整備も十分とは言えないため、ファクタリング業界には悪質業者の存在も確認されています。現状では、利用者が悪質業者に騙されないよう、注意を払う必要があるでしょう。

ファクタリング業界の今後の動向

ファクタリング業界には、上記のような現状がありますが、ファクタリング需要の増加に伴い、さまざまな業界から数多くの介入がされてきています。ここでは、ファクタリング業界を取り巻く最新の情報と、ファクタリング業界の今後の動向について解説します。

2020年の売掛債権の法整備により債権譲渡の自由度が高まる

売掛債権には「譲渡禁止特約」を付けることができます。譲渡禁止特約付きの売掛債権とは、売掛先企業と納品企業との間に「第三者へ売掛債権を譲渡することを禁止する」という条件を付けて発行する売掛債権のこと。つまり、譲渡禁止特約付きの売掛債権は、他者へ譲渡することができません。そのため、譲渡禁止特約付きの売掛債権では、ファクタリングを利用できないという問題がありました。
しかし、2020年に売掛債権に関する法整備が行われたことにより、譲渡禁止特約付きの売掛債権も自由に譲渡できるようになったのです。これを受け、今までファクタリングを利用できなかった事業主も、ファクタリングを利用できるようになりました。実際、この法整備以降、ファクタリングの利用者数は増加傾向にあり、今後も益々増加していく見込みとなっています。

2026年の手形廃止によりファクタリング需要は高まる

江戸時代から続いた「手形制度」ですが、紛失や盗難リスク、発行コストなどの課題がありました。長い歴史を持ってもこの課題を解消することは難しく、年々手形を用いる企業も減少傾向にあります。この情勢を受け、日本政府は、2026年には手形を廃止する方針を固めました。
手形の廃止宣言を受け、今まで手形を用いた取引を行っていた企業も、売掛債権を用いた取引へ移行していくことが予測されます。それに伴い、手形割引を利用していた企業が、ファクタリングを利用するようになることも予測できるでしょう。手形を用いている企業は少なくなっているとは言え、全体の15%程度はいまだに手形を用いた取引を行っています。手形廃止に伴い、ファクタリング需要は高まると言っても、過言ではありません。

さまざまな業界からの利用が増える

ファクタリング業界全体を見ても、現状としては、運送業や建設業、製造業など支払いサイトが長い業界からの利用率が高いです。利用者の多くは法人ですが、年々個人事業主やフリーランスの利用者も増加してきています。
これは、働き方改革の影響により、個人事業主やフリーランス、または副業としてビジネスを行う方が増えてきていることが影響しているでしょう。IT業界や通信業界に参入している方が多いため、今後はIT業界や通信業界からの利用者が増えることが見込めます。

ファクタリング会社の専門性が高まる

近年のファクタリング需要の上昇を受け、ファクタリング会社の数も年々増えてきています。今後ファクタリング業界で生き残るためには、競合との差別化が不可欠となるでしょう。そのため、専門性や利便性を高めたり、独自のサービスを展開したりするファクタリング会社も増えてくることが予測できます。利用者にとっては、よりファクタリングを利用しやすい環境になっていくことでしょう。

政府の働きかけで徐々に認知度も向上

銀行融資を受ける際、担保や保証人があれば、融資審査に通りやすくなります。しかし、担保や保証人を用意できない中小企業が多いのも確か。そのため、銀行融資を受けられないが故に、倒産を余儀なくされる中小企業も少なくはないでしょう。
この情勢を受け、経済産業省は「売掛債権を活用した資金調達方法」の利用を推奨しています。ファクタリングは、売掛債権の譲渡・売却による資金調達方法であり、間違いなくこれに該当します。現状では認知度が低いことにより、「ファクタリングは怪しいサービス」など、ネガティブな印象を持たれがちかもしれません。しかし、政府の介入により、認知度や透明性が高まることも予測できます。これに伴い、ファクタリングの誤解は解消され、ファクタリング業界は益々発展していくことでしょう。

法的整備もされていく見込み

ファクタリング業界は、歴史も浅く、まだまだ認知度が高いとは言えません。手数料を制限する法律がなく、悪質業者が存在するのも確かです。
現状では、金融庁から、偽装ファクタリングや悪質業者の存在に対する注意喚起しか行われていません。しかし、ファクタリング需要の上昇に伴い、今後法的整備がされていくことにも期待できます。法的整備がされれば、悪質業者も減っていくことでしょう。安心してファクタリングを利用できる将来も、そう遠くはないはずです。

今後ファクタリング業界は益々の発展が予測されます

ファクタリング業界は、今後益々発展していくことが予測されます。現状では、認知度が低いが故に、ファクタリングのサービス内容を誤解している方も多いかもしれません。法的整備も十分とは言えず、ファクタリング業界内には悪質業者の存在も確認されています。しかし、手形の廃止に伴い、ファクタリング需要が高まるのも確かです。政府の介入もされていくことから、認知度や透明性が高まり、安全に利用できるようになることにも期待できるでしょう。

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