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ノンリコースのファクタリングとは?仕組みとメリット・デメリットを徹底解説

ファクタリングについて調べていたら、「ウィズリコース」と「ノンリコース」という言葉が出てきて気になっていた人も多いでしょう。
ファクタリングを利用する際に、これらの用語の意味が分からなければ、良い契約をするのは難しいです。
本記事では、特にノンリコースファクタリングに焦点を当て、そのメリットとデメリットを解説します。
加えて、リコース(償還請求権)の基本も説明しますので、ファクタリングを利用する前に、これらの知識を把握しておきましょう。

リコース(償還請求権)とは

償還請求権は、ファクタリング契約において重要な要素です。
これは、債務者が金銭債権を支払わない場合に、その金銭債権を元の持ち主に直接請求する権利を指し、リコースとも称されています。
リコース契約、つまり償還請求権のあるファクタリング契約では、売掛金が支払われない場合、ファクタリング会社がその金額の返済を要求する可能性があるのです。
通常、売掛金の入金には1ヶ月から2ヶ月かかることがあり、その間に売掛先が経営困難に陥り、倒産するリスクも存在します。
売掛金はファクタリング会社に譲渡されているので、未回収のリスクも移転されると考えられがちですが、償還請求権の存在によって、弁済の責任は変わるため注意が必要です。

ファクタリング契約の償還請求権の有無

ファクタリングの契約には以下の2つが存在します。
● ウィズリコース(償還請求権あり)
● ノンリコース(償還請求権なし)
2つの契約内容の違いについて詳しくみていきましょう。

ウィズリコース(償還請求権あり)

ウィズリコースとも称される償還請求権ありのファクタリングでは、売掛金をファクタリング会社に譲渡した後も、その売掛金が回収されるまで安心することはできません。
このタイプのファクタリングは、特に銀行や貸金業者で取り扱われており、契約には償還請求権特約や買い戻し特約が含まれることが一般的です。
売掛金が回収できない場合、売却された売掛債権を買い戻す必要があり、これは売掛債権を売却して代金を調達するよりも、売掛債権を担保とした借入れとして扱われることがあります。
実際、過去の判例においても、債権譲渡契約ではなく、金銭消費貸借契約とみなされており、融資として扱われます。この場合、ファクタリング会社への支払いは手数料ではなく、利息です。
利息は利息制限法に基づく必要があり、借入金額によって年率15%から20%の範囲内で設定されます。
例えば、元本が100万円を超える場合、年率15%が上限の金利が適用されます。

ノンリコース(償還請求権なし)

ノンリコースファクタリングは、償還請求権のない契約形態であり、売掛金をファクタリング会社に移転する際には、未回収リスクも同時に移転されます。
この契約では、売掛債権の譲渡をしたのち、売掛先からの支払いをファクタリング会社に渡すことで、手続きが完了します。
もし売掛先が経営破綻し、売掛金が回収できなくなった場合でも、利用者にはその責任が及ばず、ファクタリング会社がそのリスクを負担します。
また、このタイプのファクタリングでは、ファクタリング会社への支払いは利息ではなく手数料となります。
手数料はファクタリング会社の独自の審査基準に基づいて決定されるため、コストはケースバイケースで異なります。

ファクタリングはノンリコースが基本

ファクタリングは、売掛金の売買に関わる取引であり、これは資金調達の手段として債権を譲渡する契約を伴います。
そのため、国内で行われるファクタリングにおいて、通常、償還請求権は不要です。
しかし、償還請求権を伴うファクタリングの形態も存在します。
ファクタリングは売掛金を現金化する方法である一方、売掛債権に基づく別の資金調達手段として手形割引があります。
これは、実質的には融資を受ける契約であり、償還請求権が伴います。
手形割引のケースでは、金融機関が割引した手形が未決済のまま不渡りとなった場合、借り手に対して直ちに返済を要求する契約が一般的です。
このため、ウィズリコースファクタリングを提供できるのは、銀行や貸金業者のような金融機関に限られています。

ウィズリコースは貸金業

説明した通り、ウィズリコースファクタリングでは、売掛先から売掛金が回収できない際に、ファクタリング会社が利用者に返済を求める権利が発生します。
つまり、回収できない売掛金に対して資金を返済しなければなりません。
このため、金融庁の定義により「資金を貸し借りする契約」に該当し、ファクタリング手数料は利息と見なされます。
貸金業を営んでいるとみなされるため、ウィズリコースのファクタリングを提供する会社は貸金業登録が必要となってきます。

ウィズリコースは悪質な業者の可能性がある

ウィズリコースでファクタリングを提供する業者は、悪質業者の可能性があるため注意が必要です。
貸金業の登録をせずにウィズリコースの契約を結んでしまうケースがあるのです。
一般的に、無登録で貸金業を営む業者はヤミ金融として知られ、金融庁はこのような違法業者を警戒し、ファクタリングを装ったヤミ金業者として注意を呼びかけています。
ヤミ金融は高金利を課すことで知られ、違法な取り立てをすることもあります。
ファクタリング会社を選ぶ際に、ノンリコースを選択することは、違法業者を避ける重要な手段の一つです。

ノンリコースのメリット

ノンリコースのファクタリングの利点は、取引先の事業運営状況によるリスクを心配する必要がない点です。
この場合、債権の買取後の回収作業はファクタリング会社が担います。
例えば、ファクタリングにより売却した債権が回収不能となったり、取引先が経営破綻したりしても、償還請求による返済義務は発生しません。
このように、回収の不確実性に悩まされることなく、資金計画が崩れる心配も少ないため、企業の資金運用がより安定します。
さらに、契約時にファクタリング会社が取引先の信用状態や債権の回収可能性を慎重に評価するため、これが与信管理の一助となるのも、ノンリコースファクタリングのメリットです。

ノンリコースのデメリット

ノンリコースにおいてデメリットとされる点は、審査基準が比較的厳格であることです。
ノンリコース契約では、ファクタリング会社が回収不能リスクを負うため、売掛先の経営状況や財務状態などを詳細に審査し、リスクが低いと判断できる売掛債権のみを買い取ります。
この審査プロセスは利用者にとっては厳しい条件と見なされ、承認を得るのが難しいことがあります。
さらに、ファクタリング会社が回収不能のリスクを負うため、手数料が相対的に高くなることがあり、これもデメリットとされています。
ファクタリングを利用する際には、リスクとコストのバランスを考慮して慎重に検討することが重要です。

ノンリコースのファクタリングに関してよくある質問

ノンリコースファクタリングについてよくある質問をピックアップしました。
● ノンリコースのみの会社にウィズリコースで申請は可能か?
● ノンリコースの審査に落ちる売掛債権はあるか?
● ウィズリコースの審査に落ちることはあるか?
それぞれ詳しくみていきましょう。

ノンリコースのみの会社にウィズリコースで申請は可能か?

交渉によっては可能かもしれませんが、基本的にウィズリコースのファクタリング契約を結ぶ際には、貸金業の登録が必要とされます。
一部のファクタリング会社は貸金業の登録をしていないこともありますので、検討中の場合はファクタリング会社に問い合わせてみることが重要です。

ノンリコースの審査に落ちる売掛債権はあるか?

既に期日を過ぎてしまった債権や破産申請をしている会社など、回収が極めて難しい債権については、通常のファクタリング契約を結ぶことは難しいです。
ファクタリング会社は債権の価値や回収の見込みを評価し、契約を結ぶかどうかを決定します。
期日を過ぎたり、破産申請を行った債権は、回収の難しさからファクタリング会社にとってハイリスクと見なされるでしょう。

ウィズリコースの審査に落ちることはあるか?

ウィズリコースの場合でも、売掛金の信用力が低い場合には審査に落ちる可能性があります。
ファクタリングは売掛先が支払いをすることを前提としていますので、売掛債権の信用力が低い企業の場合、ファクタリング会社による債権の買取りが難しいとされることが一般的です。
したがって、ファクタリングを検討する際には、売掛金の信用力や債権の詳細についてファクタリング会社との対話を重ね、審査基準や条件を確認することが重要です。
信用力が低い売掛金については、ファクタリング契約を結ぶ前にファクタリング会社の判断を確認することが必要です。

ノンリコースファクタリングのまとめ

ノンリコースとは、売掛債権に関する償還請求権なしの契約のことを指します。
この契約形態では、もし売掛先が経済的困難により支払いできなくなった場合でも、ファクタリングを利用した事業者がその責任を負う必要はありません。
一方で、ウィズリコースとは償還請求権ありの契約を示し、売掛先からの支払いが受けられない場合には、ファクタリングを利用した事業者が売掛債権を買い戻す義務が発生します。
また、金融庁によれば、一部にはファクタリングと称しつつ違法な高利貸しをする業者も存在し、ウィズリコースを利用した不当な取引をしているとのことです。
そのため、ファクタリングを利用する際には、特にノンリコース型の契約を選択することが基本です。本記事を参考にして、ノンリコースファクタリングの基本を抑えておきましょう。

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