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クレジットカード決済を取り扱う店舗やオンラインショップ運営者の中には、クレジットカード会社からの入金が遅いことに不満を感じている方も多いでしょう。
入金までの時間が長いと資金繰りに支障をきたすことがあります。このような状況の解決策として考えられるのがファクタリングの利用です。
この記事では、クレジットカード債権を活用したファクタリングについて詳しく説明します。
ファクタリングの基本的な仕組みや、メリットとデメリット、さらに活用方法を解説しますので、ぜひビジネスに役立ててください。
クレジットカード債権とは、消費者がクレジットカードなどの決済サービスを使用して代金を支払った際に生じる債権のことです。
クレジットカードは、現金を持たなくても商品やサービスの購入が可能な便利な手段です。消費者は、後日支払いをすることで、現時点での支出を抑えられます。いまや小売業や飲食店、さらにはオンラインショッピングなどで広く利用されている決済方法です。
事業者がクレジットカード会社の加盟店になることにより、顧客はクレジットカードでの支払いが可能になります。
クレジットカード会社に対して、購入代金の支払いを請求することにより、顧客からの直接的な代金受け取りをしなくても、売上の現金化が可能です。
クレジットカードの決済システムを取り入れる際、資金の流動性に影響が出ることがあります。
これは、現金決済の場合と異なり、クレジットカードでの支払いが完了してから実際に資金が事業者の手元に届くまでに時間がかかるためです。
クレジットカードの取引では、売上の締め日と入金日が定められており、この期間により売上が一括で入金されます。
多くの場合、締め日が月末で、入金日が翌月末に設定されていることが一般的です。
特にクレジットカード決済を導入した直後は、資金繰りが難しくなることがあります。
以前は現金で即時に受け取れた売上が、クレジットカード決済により遅延することで、短期的な支払い資金に不足が生じるのです。
そのため、クレジットカード決済を導入する際には、今の資金で運転資金の管理が可能かどうかを事前に検討することが重要です。
クレジットカードに関連する債権をファクタリングで現金化することは可能です。
まず、ファクタリングとは何かを簡単に説明しましょう。
ここでは、特にクレジットカードに関連する債権を対象としたファクタリングについて説明します。
ファクタリングは、企業が持つ売掛債権を専門のファクタリング会社に売却し、通常の支払期日より早く資金を得るためのサービスです。
サービスを利用する際には手数料が発生しますが、資金調達のタイミングを前倒しできるというのが大きな利点です。
多くの利用者が資金繰りをスムーズにするためにこのサービスを活用しています。
ファクタリングでは売掛債権を現金化することで資金を調達しますが、これは融資とは根本的に異なるサービスです。
融資では資金の使用目的が限定されることがありますが、ファクタリングで得た資金にはそのような制限はありません。
事業の運営資金や税金の支払いなど、様々な目的で自由に使用できます。
長い間、債権譲渡禁止の法律はファクタリングの広がりを制限していました。
しかし、この問題を解決するため、2017年に政府は法改正をしたのです。
その結果、債権の譲渡に関する法律は次のように変更されました。
● 債権は、譲り渡すことができる。
● 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
改正された法律にもかかわらず、クレジットカード会社は加盟店に対して債権の譲渡を禁じている場合もありますが、法的には譲渡が認められています。
この法改正は2020年4月1日から施行され、現在はクレジットカード債権のファクタリングが可能となっています。
クレジットカード債権をファクタリングで活用することには、数多くのメリットがあります。
ここでは、クレジットカード債権をファクタリングに用いる際のメリットについてご紹介します。
● 早期に現金が手に入る
● 資金繰りを改善できる
● 負債が増えない
クレジットカードの決済では売上の入金まで1か月以上かかることが一般的です。
これにより、売上は確定していても直ちに運転資金に充てることができないため、現金不足に直面することがあります。
この際に、ファクタリングを利用すれば、迅速な審査プロセスを通じて、売掛金をすぐに現金化することが可能です。
ファクタリング会社によっては、申し込みから即日での入金が可能な場合もあります。急ぎで現金が必要な際には、ファクタリングは迅速な資金調達の手段となります。
キャッシュレス決済が普及するにつれて、クレジットカードによる支払いも増加しています。
顧客にとっては便利ですが、企業の資金繰りには負担をもたらすリスクが伴います。
もし仕入れや家賃の支払いがクレジットカードの入金日より先に来ると、資金不足に陥る可能性があります。
このような資金繰りの問題を解決するためには、ファクタリングを活用し、クレジットカード債権の支払い期間を短縮するのが効果的で、キャッシュフローの改善に役立つでしょう。特に、クレジットカード決済を導入する際は、資金繰りの問題が起きやすいため、ファクタリングをうまく活用してください。
ファクタリングは売掛債権の買取による現金化であるため、貸借対照表に負債として記載する必要がありません。
つまり、借金として扱われずに、クレジットカード債権を迅速に現金化できます。貸借対照表に借入れが記載されると、財務状況が悪いとみなされ、信用格付けが低下するリスクがあります。
そのため、資金が必要で負債を増やしたくない場合、ファクタリングは良い選択肢となるでしょう。
クレジットカード債権をファクタリングするデメリットも存在します。
主なデメリットは以下の項目です。
● 二重に手数料がかかる
● 債権の譲渡が出来ない場合がある
● 利用できるファクタリング会社が少ない
クレジットカード決済を採用する際は、決済額の約3%〜10%の範囲で手数料が発生します。
さらに、クレジットカード債権をファクタリングで活用する場合、ファクタリングの手数料も支払わなくてはなりません。
二重にかかる手数料は、利益を圧迫しかねません。
クレジットカード決済の手数料とファクタリングの手数料の具体的な金額は、契約内容によって異なります。
クレジットカード債権のファクタリングの利用を検討する際には、これらのコストを考慮して判断することが重要です。
クレジット債権のファクタリングをする前に、債権譲渡禁止条項の有無を確認することが重要です。
この条項がある場合は、売掛先(クレジットカード会社)に知らせずに、2社間ファクタリングすることは出来ますが、3社間ファクタリングは利用できません。
また、債権譲渡禁止条項を無視して売掛金を譲渡すると、クレジットカード会社から加盟店契約を解除されるリスクもあるため、注意が必要です。
法的には問題ないものの、すべてのファクタリング会社がクレジットカード債権を取り扱っているわけではありません。
クレジットカード債権を扱うファクタリング会社は比較的少ないのが現状です。
公式サイトで情報が提供されていない場合は、直接問い合わせて確認するのが良いでしょう。
一般的には、ファクタリングを利用する際には複数の会社の条件を比較するのが推奨されますが、クレジットカード債権を対象とする場合、選べるファクタリング会社の数は限られることが多いです。
最近ではクレジットカード決済が多岐にわたる業種で使用されています。
ファクタリングが向いているのはどのような業種でしょうか?
以下では、クレジット債権のファクタリングが特に有効な業種について説明します。
クレジットカード債権のファクタリングが適している業種の一つは小売業です。
スーパーマーケット、ドラッグストア、百貨店などの小売店では、クレジットカードを使用する顧客が増加しています。
クレジットカード決済の導入により、会計処理がスムーズになり、売上アップも見込めるでしょう。
しかし、クレジットカード決済を採用すると、売上が発生してから実際の入金まで時間がかかるため、キャッシュフローが逼迫することもあります。
小売業では、仕入れ費用や人件費などの大きな支払いが必要ですから、資金不足には注意が必要です。
特に、クレジットカード決済を新たに導入した際には、資金繰りが厳しくなることがあるため、ファクタリングの活用を考えると良いでしょう。
飲食業界も、クレジットカード債権ファクタリングを利用することが推奨される業種の一つです。
飲食店では、支払いオプションとしてクレジットカードや電子マネーなどのキャッシュレス決済が増えてきています。
しかし、キャッシュレス決済が主流になると、一部の飲食店では現金不足のリスクが生じる可能性があります。
さらに飲食業では、仕入れ費用、店舗の賃料、人件費など多くの支払いが必要です。
ファクタリングを活用することで、クレジットカード債権を迅速に現金化し、必要な資金を確保できます。
アパレル業界では、オンラインショッピングの台頭とともにクレジットカードによる支払いが増加傾向です。
ネット販売とクレジットカード決済は売上を伸ばす効果があるものの、同時にキャッシュフローの停滞を引き起こす可能性もあります。
アパレル業界はトレンドや季節に合わせた商品の定期的な仕入れが必要で、それには一定額以上の資金が求められます。
クレジットカード決済の入金に時間がかかる場合、資金繰りが難しくなることもあるでしょう。
ファクタリングを有効に使うことで、財務上の負担を軽減し、安定した仕入れ体制を維持できます。
クレジットカードに関する売掛債権は、ファクタリング会社によって買取可能です。
クレジットカード決済代行会社は一般的に貸し倒れリスクが低いとされるため、ファクタリングしやすいといえるでしょう。
しかし、ファクタリングの利用には手数料が伴うため、コストを考慮しつつ適切なタイミングでの利用が重要です。また、債権譲渡禁止条項の有無を確認することも忘れずにおこなってください。
クレジットカード債権の入金サイクルよりファクタリングの支払いサイクルの方が短いため、資金繰りに困っている際は、ファクタリングの利用を検討する価値があるでしょう。