目次
自社の通帳はできれば他人には見せたくないものです。
これは企業規模の大小に関わらず、多くの方が感じていることでしょう。
しかしファクタリングの審査を申し込む際、通帳の写しを提出するのは一般的なことです。
できれば通帳は開示したくないかもしれませんが、通帳なしでは申し込みができないファクタリング業者も、少なくありません。
以下ではなぜファクタリングの申し込みに、通帳が必要なのか解説します。
また通帳なしで申し込めた場合どのようなリスクやデメリットがあるのかなど、ファクタリングの申し込みと、通帳のあるなしに関して解説していきます。
同時にファクタリング申し込みに必要とされることが多い書類なども、紹介していきましょう。
ファクタリングとは、自社が持っている売掛債権をファクタリング業者に譲渡し、売掛債権の早期現金化を図る資金調達法です。
このファクタリングを利用する際、通帳(の写し)の提出を求められます。
もちろんファクタリング業者もさまざまなので、すべての業者で提出が必要というわけではありません。
しかし通帳なしで申し込める業者は、多くはないというのが現実です。
とくにファクタリング業者と申込企業の2社間で契約が結ばれる、2社間ファクタリングでは注意しましょう。
通帳開示が必須、通帳なしでは申し込みができないというケースも多くなります。
企業経営者の方や個人事業主の方の中には、通帳を見せることに抵抗があるという方もいるでしょう。
しかし通帳なしでは、ファクタリング審査に申し込めないと考えておいた方がよいでしょう。
そもそもファクタリングで問題になるのは、ファクタリング業者に譲渡した売掛債権が、現金化できるかどうかという点です。
そう考えると申し込んだ企業の通帳が必要であるとは、考えにくいところでしょう。
売掛債務を持っている取引先の支払い能力と、申し込んだ企業の通帳には直接の関係はないように感じるかもしれません。
それでもファクタリングを申し込むにあたって、通帳なしではなぜ審査を受けられない可能性が高くなっています。
以下では通帳が必要となる理由に関して、解説していきましょう。
ファクタリング業者にとってのリスクを考えてみましょう。
ファクタリング業者は売掛債権を買い取り、必要な現金を申込者に支払います。
つまりこの売掛債権が後に現金化できないというのが、最大のリスクです。
売掛債権が現金化できない主な理由は、倒産など売掛先の支払い能力がないケースと、そもそも存在しない「架空債権」だった場合です。
こうしたリスクを回避するため、ファクタリング業者は審査の際に通帳の提出を求めます。
通帳に実際にその売掛先から入金があったことが記されていれば、架空債権である可能性は低くなるのです。
また売掛先の支払い能力を証明する、ある程度の目安ともなります。
通帳なしで申し込んだ場合、ファクタリング業者としてもこういった情報の入手が難しくなるのです。
業者によっては通帳なしでの申し込みは、受け付けていない場合もあります。
しかし基本的には、買い取った売掛債権が後に現金化できるかどうかの判断基準として、通帳が必要になります。
継続的に取引を行っている売掛先の場合、過去数か月の支払い状況から、その支払い能力を推測可能です。
もちろん入金期日までにしっかりと入金している売掛先であれば、ファクタリング業者も安心して債権を買い取れます。
場合によっては手数料も、そこまで高くはならないでしょう。
一方過去の取引状況を見て、支払いがかならず数日遅れているなどの事実があるかもしれません。
その売掛債権は、回収が難しいと判断されやすくなります。
回収できたとしても期日を過ぎる可能性が高ければ、当然手数料が高く設定されたり審査に通らなかったりというケースも、考えられます。
通帳なしでの申し込みの場合、ファクタリング業者としても売掛債権が現金化できるかどうかの判断が難しいのです。
審査を受け付けない・通りにくくなる、通っても手数料など契約条件が申込者にとって、不利になる可能性もあります。
ファクタリングの契約では、信頼関係が非常に重要になります。
ファクタリング業者としては、まだ現金化されていない売掛債権を買い取って現金を入金するわけです。
その売掛債権が確実に現金化されると信用できなければ、契約は難しくなります。
初めて仕事をする取引先の売掛債権と、過去の何度も取引しそのたびにしっかり入金期日を守って入金している取引先の売掛債権の場合、後者の方がより信頼度は高くなるでしょう。
売掛債務を持つ取引先との取引実績を証明することは、ファクタリング契約では重要なポイントとなります。
そのためにも通帳が必要です。
何度も取引を行っている取引先だとしても、入金された実績を証明できる通帳なしでは、ファクタリング業者としてもなかなか信用することは難しくなります。
ファクタリング契約も難しくなるのは、間違いありません。
通帳なしでファクタリング契約の申し込みができる業者もあります。
また通常であれば通帳なしでの申し込みは不可でも、条件を満たせれば申し込み自体は可能という業者も存在します。
こういった業者に対し、通帳なしで申し込んだ場合のデメリットを紹介しておきましょう。
まずは審査が通りにくくなるというリスクがあります。
上記の通り通帳は売掛先との関係や、売掛先の支払い能力を証明するうえで、非常に重要なアイテムです。
通帳なしで申し込むことは、ファクタリング契約において重要なポイントの証明が難しくなることです。
そのため審査にも通りにくくなってしまいます。
反対に通帳なしでも簡単に審査に通るようなファクタリング業者は、そもそも手数料が高い業者かもしれません。
最悪の場合悪徳業者という可能性も、否定できません。
悪徳業者は、ファクタリングに見せかけて高い金利で現金を貸し付けることも多くあります。
いわゆる闇金に分類される業者かもしれません。
ファクタリング契約を申し込むことは、ある程度急ぎで現金がほしいという状況でしょう。
そういった状況だからこそ、悪徳業者はその弱みに付け込んでくるものです。
十分に気を付けていきましょう。
通帳なしでの申し込みを受け付けている業者だからといって、悪徳業者というわけではありません。
もちろん優良業者の中には、通帳なしでも申し込みは受け付けてくれるケースも多々あります。
ただし通帳なしの場合、通帳ありの申し込みと比較すると審査に時間がかかる傾向もあります。
通帳があればそれだけで確認できる項目を、別の方法でしっかりと吟味する必要があるので、これも致し方ないといえるでしょう。
そもそもファクタリングを利用する大きなメリットのひとつとして、現金化のスピードが早いという点があげられます。
一般的に見ても申し込んでから数日以内に売掛債権が現金される、最短では申し込み即日に現金化という業者もあるほどです。
こうしたファクタリングの大きなメリットを消してしまう、弱めてしまうのが通帳なしでの申し込みです。
せっかく早期現金化という方法を選ぶのであれば、やはりしっかり通帳も用意しておく方がおすすめといえるでしょう。
通帳からは申し込んだ企業と取引先の関係性や取引先の支払い能力など、ファクタリング契約において、重要な部分の情報が見て取れます。
通帳なしで申し込むことは、こういった重要なポイントを証明できる書類なしで申し込むことです。
業者によっては通帳に代わって、取引先との関係性や取引先の支払い能力を証明できる、別の書類の提出を求めるケースもあります。
ファクタリング業者にとっては、その売掛債権が現金化できるかどうかが最大のポイントです。
別の書類の提出を求めるのも、致し方ないといえるでしょう。
通帳さえ用意できていれば、必要のなかった書類を準備する必要があります。
それだけ申し込み自体に時間がかかり、やはり早期現金化というファクタリングの大きなメリットを潰すことになりかねません。
通帳なしでのファクタリング申し込みは、準備する書類が増え審査に時間がかかるうえに、その審査にも通りにくくなる大きなデメリットが存在します。
こういったデメリットを知ったうえで、それでも通帳なしで申し込むか、通帳を開示するかを判断しましょう。
ファクタリングの申し込みに必要な書類に関しては、ファクタリング業者ごとにさまざまな決まりがあります。
最終的に必要な書類に関しては、選んだファクタリング業者の定めに従う必要があります。
ここでは一般的に必要とされるケースが多い書類に関して、紹介しておきましょう。
通帳に関しては、基本的に必要書類とされていますので、ここでは通帳以外の書類に関して紹介していきます。
ファクタリングの申し込みは、基本的にその企業の代表者が行います。
そのため必要になるのが、代表者の個人を証明する身分証明書です。
運転免許証やパスポート・マイナンバーカードなど、しっかりと個人を特定できる公的機関発行の、写真付き証明書を準備してください。
代表者の個人的な身分証明書が必要になる理由は、代表者以外の人物が会社に許諾を得ず、勝手に売掛債権を現金化しないためです。
従業員が勝手にファクタリングを申し込んだ場合、会社経営者はその事実を知らないかもしれません。
そして売掛金が入金されたときに、ファクタリング業者が回収できないという事態も考えられます。
ファクタリングの申し込みに必要な書類は、この身分証明書以外は従業員でも用意できるものばかりです。
身分証明書が提示できないと、申し込み不可という業者がほとんどとなります。
続いて必要となるのが、売掛債権の存在を証明するための書類です。
ファクタリングは売掛債権を譲渡する契約です。
そもそもその債権の存在を証明できなければ、契約はできません。
売掛債権が存在することを証明する書類としては、取引先との契約書や納品書・請求書、発注書などが考えられます。
どの書類を提出すべきかは業者によって違うので、事前にしっかりと確認して用意しておきましょう。
ファクタリング契約の審査で重視されるのは、取引先の支払い能力です。
とはいえとくに2社間ファクタリングの場合は、申し込んだ企業の財務状況も審査対象となります。
2社間ファクタリングとは、ファクタリング業者と申込企業の間で結ばれる契約です。
申込企業の取引先には一切知らされずに結ぶ契約となります。
そのため取引先企業は売掛債権の入金期日までに、申込企業に入金を行うのです。
申込企業は売掛債権の入金を確認したら、その入金された金額をファクタリング業者に支払い、これで契約は完了です。
もし申込企業の財務状況が悪く、入金された売掛金をファクタリング業者に支払わない可能性がある場合、ファクタリング契約は難しくなります。
申込企業の財務状況を確認するために提出が必要になるのが、決算書などの書類です。
申込企業の財務状況をチェックできるうえに、取引先企業の情報も得られる重要な書類となります。
ファクタリング契約の申し込みの際、提出が求められる書類として多いのは、商業登記簿謄本です。
これは申し込みを行う企業が、確実に存在していることを証明する書類であり、法務局の窓口などで取得できます。
繰り返しになりますがファクタリング業者にとって大きなリスクは、債権が現金化できないことと、架空債権をつかまされることです。
これらの自体が発生しないためにも、商業登記簿謄本は重要なアイテムとなります。
通帳なしでも申し込めるファクタリング業者はあるものの、ここで紹介した書類に関しては、提出が求められることも多いものです。
ファクタリング契約を考えている方は、まずはどのファクタリング業者を利用するかを決め、そのうえで必要となる書類を準備しておきましょう。
もし通帳なし・商業登記簿謄本なし、決算書なしなどで申し込みたい場合は、事前にファクタリング業者に連絡してその旨を伝えてみましょう。
すべてなしでの申し込みは難しいかもしれません。
しかし事情によってはその書類なしでの申し込みに、対応してくれる業者があるかもしれません。
ここまでは一般的な企業が利用する、企業間ファクタリングにおける通帳の重要性や、申し込みに必要な書類を解説しました。
さらに必要書類なしで申し込む場合の、デメリットなどを紹介してきました。
ここから紹介するのは、主に個人事業主の方がファクタリングに申し込む場合に必要となる書類や、申し込みのポイントなどです。
まず個人事業主といえども、通帳なしでの申し込みはまず受け付けられません。
また上で紹介した通帳以外の提出書類に関しても、同じものやそれに類似する書類の提出が必要です。
そのうえでほかにも提出が求められる書類もあります。
ファクタリングは審査が比較的緩いとはいえ、個人事業主の場合そこまで審査は緩くありません。
一部ネット上では「個人事業主はファクタリングを申し込んでも、審査落ちが当たり前。むしろ通ればラッキー」という言葉も聞かれます。
個人事業主の場合、取引先企業(もしくは個人)の規模もそこまで大きくない可能性が高いでしょう。
取引先の支払い能力という点で、審査に通りにくいケースが多くなります。
個人事業主がファクタリングを申し込む場合は、取引先の支払い能力をしっかりと証明することが重要です。
そのためにも通帳なしでの申し込みは、まず難しいともいえます。
個人事業主がファクタリングを申し込む場合、どのような書類を追加で用意すべきかを紹介していきましょう。
まず大切になるのが、自身が行っている事業内容を証明できる書類を準備することです。
個人事業主といってもさまざまな働き方があります。
もちろんとくに、どこにも届け出なしで始められる事業もあります。
こうした事業を行っている場合、自身がどのような事業を行っており過去にどれだけに成果をあげているかなど、自身が従事している事業を証明することが必要です。
具体的にどのような書類が必要になるかは、さまざまなケースがあります。
限定が難しいところなものの、自身の行っている事業を証明できるような書類を用意しましょう。
個人事業主の場合、こうしたポイントからも通帳の提出はほぼ必須といえます。
実際に何かしらの事業を行い、その事業によって対価を得ているというお金を流れの証明できるのが通帳です。
個人事業主の場合、通帳なしでの申し込みはほぼ不可能と考えてもよいでしょう。
個人事業主が提出を求められる書類として特殊なのが、納税証明書や国民保険の納付証明書などです。
これらの証明書の提出を求められる理由は、税金や保険の納付先が公的機関のためです。
もし納付されていない、納付が遅れているなどの場合、公的機関は収入の差し押さえを行います。
つまりファクタリング業者が売掛債権を買い取っても、その債権が差し押さえられ現金化できないリスクもあるからです。
同時に個人事業主に求められる書類が、確定申告書類です。
個人事業主はしっかりと個人で確定申告を行い、税金を納め保険料を支払っていないと、ファクタリングの利用は難しいことになります。
ファクタリングは利用したいものの、自社の通帳を開示するには抵抗がある、もしくは不都合な理由がある方もいるでしょう。
しかし売掛債権を早期現金化する、そのうえファクタリング自体は借入金とはならないのが特徴です。
後に金融機関に融資を依頼する場合に大きなマイナスポイントにはならないなど、ファクタリングには大きなメリットがあります。
通帳の開示は自社と取引先の関係を証明する、取引先の支払い能力を証明するという点で、非常に重要なことです。
通帳ありと通帳なしでは、ファクタリングの審査の通りやすさも審査に必要な時間も、ファクタリング契約の内容にも大きな違いが生まれます。
もちろん通帳なしでの申し込みを受け付けている、ファクタリング業者もあります。
しかし通帳ありの申し込みと比較すれば、どうしても不利な条件での契約が多くなるでしょう。
よほど大きな事情がない限り、通帳の開示をするのがおすすめです。
通帳なしでの申し込みはそれだけリスク、デメリットも大きいことは覚えておきましょう。