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近年注目を集めている企業の資金調達方法がファクタリングです。
しかしファクタリングの利用が多くなると、考えたくなるのがファクタリングからの卒業です。
ファクタリングは手持ちの債権を譲渡することで、早期に現金化するという資金調達方法となります。
手軽で便利な反面、手数料が必要となり売り上げ自体が少なくなるというデメリットもあります。
ではこのファクタリングから卒業するのは、正解なのでしょうか。
卒業するとすればどのような方法があるのか、卒業せずに有効に活用する方法はあるのかなども気になるところです。
今回はファクタリングの活用方法を中心に解説していきましょう。
最初に結論からいってしまうと、無理をしてまでファクタリングを卒業する必要はありません。
企業経営者にとって重要なのが、資金繰りをしっかり行うことです。
企業が企業として活動するには、資金が必要です。
毎月変わらず必要になる光熱費や人件費はもちろん、新たな事業を始めるときには設備投資費なども必要になります。
経営者はこの資金を用意できるかが重要です。
企業の資金繰りの方法は、基本的には銀行など金融機関からの融資になります。
とはいえ金融機関からの融資にも限界はあります。
そこで活用できるのがファクタリングです。
企業経営者として、企業が活動するために必要な資金を用意することが重要だと考えれば、資金調達の方法は減らすべきではありません。
むしろファクタリングという選択肢をもっている方が、より経営が安定するのです。
こう考えれば、ファクタリングは資金調達方法のひとつとして確保しておくべきであります。
無理に卒業を意識すべきものではないといえるでしょう。
反対に無理にファクタリングから卒業をしようとすると、肝心の資金繰りの部分が苦しくなります。
資金繰りが苦しくなれば、通常の企業運営にも支障が出てしまいます。
理想論としてはファクタリングも銀行融資も頼らずに、企業の売り上げのみで資金を安定させるのが理想です。
とはいえそれができる企業は多くありません。
企業経営者として資金繰りの方法を確保しておくためにも、無理にファクタリングを卒業しようと考えない方がよいでしょう。
ファクタリング自体卒業する必要性はそこまで高くありません。
しかし卒業すべきこともあります。
それが「ファクタリング依存」です。
ファクタリング自体は、資金調達方法のひとつの手段・選択肢としてもっておくことは重要です。
しかしそのファクタリングに依存してしまう状態は、歓迎できる状況ではありません。
ファクタリングとは手元にある売掛債権を譲渡し、早期に現金化を図る方法です。
早期の現金化が可能になるのと同時に、一定の手数料を支払う必要性があります。
手数料はファクタリング業者によりさまざまです。
なかでも2社間ファクタリングで5~20%、3社間ファクタリングで10%未満が相場となります。
つまり100万円の売掛債権を10%の手数料でファクタリングした場合、手元に残るのは90万円です。
自社の売り上げがそれだけ落ちてしまうことになります。
ファクタリングの特徴として、銀行など金融機関からの融資と比較して審査が通りやすいこともあります。
手軽に債権を現金化できるという便利さを頼り続けてしまうと、ファクタリングなしでは資金繰りが回らないという状態になるでしょう。
つまりファクタリング依存の状態に陥ってしまうことがあります。
このファクタリング依存という状態からは、早期に卒業するのがおすすめです。
何らかの方法を用いて、ファクタリング依存からは早期に卒業できるようにしましょう。
ファクタリング依存の状態は、企業としては健全な状態とはいえません。
依存状態からはできるだけ早期に卒業するのが理想なものの、それが難しいから依存しているともいえます。
そこでファクタリング依存から卒業するために考えられる方法を考えてみましょう。
ファクタリング依存に陥るひとつの理由に、手数料が高すぎることも考えられます。
手数料が高ければ高いほど手にする現金は少なくなります。
結果他の売掛債権もファクタリングするという悪循環に陥るでしょう。
そこでファクタリング依存から卒業するひとつの方法として、ファクタリング業者を変更する、つまり乗り換えるという方法があります。
ファクタリングは業者によって、設定する手数料が変わります。
ファクタリング業者を乗り換えることで手数料が軽くなり、徐々にファクタリング依存から卒業しやすくなっていくでしょう。
ファクタリング業者の設定する手数料は、実際に見積もりを依頼しないと分からないケースがほとんどです。
現状利用しているファクタリング業者の手数料が高いと感じたら、さまざまな業者に見積もりを依頼してみましょう。
ファクタリング依存に陥っている状態とは、単純に手元に現金が足りない状態とも言い換えられます。
ファクタリング依存から卒業するためには、手元の現金を増やすのが効果的です。
そうなると取れる手段は限られており、銀行などの金融機関から融資を受けるなどの方法が中心となります。
金融機関からの融資は、ファクタリングと比較すれば審査が厳しくなります。
またファクタリングとは違い借入金となるため、いわゆる借金をすることになるのです。
ファクタリングは売掛債権を譲渡し、早期に現金化をするシステムですので、借入金ではありません。
ファクタリングに依存していたとしても、ファクタリングで得た現金を以前借り入れていた銀行融資の返済などに充てていれば、その企業の借入金は減るのです。
つまり金融機関の融資審査にも通りやすくなっている可能性があります。
金融機関からの融資が望める企業は、一度融資を受けてファクタリング依存からの卒業を目指しましょう。
ファクタリング依存からの卒業を考えた場合、金融機関からの融資を受けるよりも、ファクタリング業者を乗り換える方が現実的でしょう。
ファクタリング業者の乗り換えに関して、注意すべきポイントをいくつか紹介します。
まずはなんといっても手数料のチェックです。
ファクタリングは業者によって手数料もさまざまです。
貸金業の場合、貸金業法という法律のもと金利の上限が定められています。
しかしファクタリングにはこうした法による手数料の定めがありません。
つまり業者ごとに自由に手数料を設定できることになります。
また近年はファクタリング業者も増えており、顧客の奪い合いも激化しています。
同業他社からの乗り換えを考えている顧客に対しては、当然前の業者よりもよい条件を提示するでしょう。
顧客獲得を目指す業者が多いため、より有利な条件で契約できる可能性があります。
ファクタリング依存からの卒業が目標であると考えれば、手数料が再注目ポイントとなります。
しかし手数料だけで決めるのは早計でしょう。
大事な債権を譲渡する契約なので、契約の詳細までしっかりとチェックしてください。
自社にマイナスがないかをよく吟味してから乗り換えるようにしましょう。
ファクタリング業者を乗り換える場合、注目したいのが新たな業者のファクタリング実績や経営母体の情報です。
ファクタリング業者として事業を始める際は、資格や条件・金融庁への登録は必要ありません。
ファクタリングという資金調達方法が比較的新しい方法であるため、現状法整備が追いついていない部分もあります。
結果ファクタリング業者の中には、悪徳業者と呼ばれる業者が存在することも否定できません。
重要なのはこうした悪質業者に捕まらないことです。
悪徳業者を避ける方法としては、まずは経営母体がしっかりしていることにあります。
銀行系や金融機関系などが出資している子会社などの場合、まず悪徳業者である可能性は低くなります。
そうではない場合も、過去の実績などを確認できればある程度信用できるでしょう。
悪徳業者の中にはヤミ金業者のような業者もあり、知らない間に巨額の借金を背負わされるかもしれません。
また暴利ともいえるような金利で、貸し付けられるなどの被害にも遭いかねません。
もちろん違法業者であれば返済の義務はないものの、違法業者はお構いなしに強引な取り立てなどを行うこともあります。
ファクタリング業者を乗り換える際は、こうした悪徳業者に引っかからないように十分注意しましょう。
ここまでファクタリングからの卒業ではなく、ファクタリング依存からの卒業に関して解説していきました。
そもそもファクタリングという資金調達方法は、金融庁も利用を推奨している資金調達方法であり、卒業する必要はまったくありません。
むしろファクタリングを利用することで得られるメリットも存在します。
以下では具体的なメリットをいくつか紹介していきましょう。
多くの企業では、常に複数の売掛債権をもっています。
この売掛債権の管理というのも、ひとつの業務になっているでしょう。
売掛債権が現状どのくらいあるのか、債権は指定の入金日にしっかり入金されているのかなどです。
また入金がない場合の督促の連絡なども業務となり、ここに人員を割く必要があります。
こういった債権管理という業務を軽減化する方法として、ファクタリングを選択するのもひとつの方法です。
ファクタリング業者の中には、債権管理の業務自体をアウトソーシングで請け負う業者もあります。
また欧米を中心にベンチャー企業の中には、すべての売掛債権をファクタリングしその債権管理を、アウトソーシングにするという企業も少なくありません。
こうすることで債権管理という、ひとつの業務が必要なくなります。
そこに割く人件費などを軽減できるという企業運営をするのも、ひとつの手段です。
すべての売掛債権をファクタリングしなくとも、毎月決まった売掛債権に関してはファクタリングすることで、その債権に関する管理業務がなくなります。
しかも早期現金化が可能となるという考え方もできるでしょう。
ファクタリングは資金繰りに役立つだけではなく、債権管理業務の軽減という点でも優秀な方法のひとつといえるでしょう。
ファクタリングを利用することで、資金繰りが安定するというのは事実です。
この安定化と依存は紙一重でもあるため、この点の見極めは重要となります。
しっかり見極められれば、企業経営にも大きなプラスとなるでしょう。
企業経営者として不安になるのは、手元に現金が少ないときです。
いつ何時急に現金が入用になるかは、誰にも予想できないものでしょう。
しかし安定してファクタリングを利用できていれば、こういった不安は軽減されます。
手元に現金があれば、急に現金が必要となった場合にも慌てず対応できます。
そして対応した後、使用した現金に関してどのように補填すればよいかを考えればよいのです。
しかし現金がないと、まず必要な現金を手にする必要があり、さらにその後補填を考えなければいけません。
慌てて現金を用意するとなった場合、冷静な判断をするのが難しくなります。
ファクタリングを利用するにも手数料の高い業者を選んでしまう、悪徳業者に捕まってしまう可能性まで考えられます。
常に余裕をもって企業経営ができる、これは経営者としては非常に大きなメリットといえるでしょう。
継続的に同じファクタリング業者を利用することで、期待できるのが手数料の値下げです。
ファクタリング業というのは、貸金業とは違い横のつながりがさほど強くありません。
また上でも触れたとおり、ファクタリングの手数料に関しては、法的に上限が決められていることもありません。
貸金業の場合、貸金業法で金利上限が定められており、さらに信用情報機関の情報を各社で共有しています。
同業他社からの借り入れ状況や返済状況などの情報も共有可能です。
つまり横のつながりが強い業界になります。
ファクタリング業者は、各業者が共通で見られる信用情報などはありません。
利用する企業の見極めは自社で、どの程度ファクタリングの利用実績があるかという点に絞られます。
同じファクタリング業者で定期的にファクタリングを利用し、そのたびしっかりと入金期日を守っていれば、その業者内での信用情報はアップしていきます。
信用が上がれば当然手数料が下がる可能性も高くなるのです。
ファクタリング業者にとっては定期的に利用をし、しかも入金の遅れなどがないという優良顧客は、同業他社には決して渡したくない顧客でしょう。
他社に乗り換えられないためにも、手数料を下げていくのが一般的です。
長く同じ業者を利用することで、手数料を下げることに繋がる可能性が高くなります。
もちろん長く利用するファクタリング業者は、最初からサービスのよい業者を選ぶ必要があります。
最初にファクタリングを利用する際は、しっかりと複数の業者から相見積もりを取り、どの業者がベストか吟味してから利用するのがよいでしょう。
ファクタリング業者を吟味するには、それなりの時間が必要です。
しかし急遽現金が必要になり、必要に迫られてファクタリング業者を探していると、こうした余裕がありません。
この点でもある程度企業経営に余裕があるときに、じっくりと時間をかけてファクタリング業者を吟味しておくことをおすすめします。
ファクタリングは、比較的新しい資金調達の方法です。
ファクタリング自体は金融庁が、HPでも利用を推奨している資金調達方法であります。
これからの企業にとっては金融機関からの融資と同様に、資金調達方法のひとつとして活用していく方法といえるでしょう。
このファクタリングという方法から卒業する必要はあるかと聞かれれば、無理して卒業をする必要はありません。
むしろ無理して卒業すべきは金融機関からの融資です。
融資には金利がかかるため、融資額を抑える方が先に考えるべきことでしょう。
ファクタリングは借入金や負債ではありません。
手元にある売掛債権を早期現金化するという方法です。
理想をいえばファクタリングも利用せず、金融機関から融資も受けずに経営していくのがベストです。
しかしそれを実現できる企業は多くありません。
ファクタリングに関しては、無理して卒業する必要はありません。
しかしファクタリングなしでは企業経営が成り立たないという、ファクタリング依存からはできるだけ早く卒業できるようにしましょう。
ファクタリング依存から卒業するためには、ほかの業者に乗り換えて手数料を下げる方法や、金融機関から融資を受けるという方法が考えられます。
ファクタリングは依存に陥らない範囲で活用していくのがおすすめです。
資金調達方法を複数準備しておくのは、企業経営にとっても重要です。
ファクタリングも上手に活用し、常に余裕をもった企業経営を行えるように準備しましょう。